肉用鶏と卵用鶏の骨格筋芽細胞における遺伝子発現の網羅的解析

肉用鶏と卵用鶏の骨格筋芽細胞における遺伝子発現の網羅的解析

二橋佑磨1, 梅澤公二2,3, 浜口悠4, 小林久人4, 河野友宏5, 小野珠乙1,2, 鏡味裕2, 高谷智英1,2.

  1. 信州大学大学院総合理工学研究科農学専攻.
  2. 信州大学農学部.
  3. 信州大学バイオメディカル研究所.
  4. 東京農業大学生物資源ゲノム解析センター.
  5. 東京農業大学生命科学部.

日本畜産学会第125回大会 (相模原), 2019/03/28 (口演).

Abstract

【目的】食肉となる骨格筋は、筋芽細胞の増殖と分化によって形成される。卵用鶏に比べ、肉用鶏の筋芽細胞は活発に増殖・分化する。その分子基盤を理解するため、卵用鶏と肉用鶏の筋芽細胞における遺伝子発現を網羅的に解析した。

【方法】卵用鶏 (WL) および肉用鶏 (UKC) から筋芽細胞を採取し、分化誘導前、分化誘導後1日目および2日目における遺伝子発現を RNA-seq で定量した。サンプル間で発現量が異なる遺伝子群 (DEGs) のオントロジーを解析した。また、主成分分析により、筋芽細胞の特性に寄与する因子を探索した。

【結果】筋分化を通じて WL と UKC で発現量が異なる 336 DEGs には、多数の膜タンパク質が含まれていた。WL または UKC 筋芽細胞の分化で発現が変動する 840 DEGs は、細胞周期と筋形成に関わる遺伝子クラスターを含んでいた。次に、筋芽細胞の性質に寄与する未知の遺伝子を探索するため、主成分分析を行った。第1主成分は筋分化の段階と、第2主成分は品種間の差異と極めてよく対応していた。各主成分への因子負荷率が大きく、かつ 336/840 DEGs に含まれる13遺伝子を同定した。

【結論】オントロジー解析と主成分分析により抽出された13遺伝子は、筋芽細胞を特徴づける候補因子と考えられる。これらの因子の役割の解明は、筋芽細胞による筋形成メカニズムの理解を進め、食肉生産に資する新たな知見に結び付くと期待される。