PKA/cAMP シグナルはマウス ES 細胞において心筋細胞への分化に関与する

PKA/cAMP シグナルはマウス ES 細胞において心筋細胞への分化に関与する

高谷智英, 川村晃久, 尾野亘, 日高京子, 森崎隆幸, 平家俊男, 北徹, 島津章, 長谷川浩二.

国立病院機構京都医療センター展開医療研究部.

第6回心血管再生先端治療フォーラム (東京), 2006/07/01 (口演).

Abstract

ES 細胞の心筋分化には様々なシグナルが関与し、これらの網羅的検索は心筋再生医療に重要な情報をもたらす。そこで Nkx2.5 の下流に GFP をノックインしたマウス ES 細胞を用い、レトロウイルスベクターによるランダム変異スクリーニングを行った。96 ウェルプレート上の平面培養による分化誘導で GFP 陽性率が低下したクローンから、3' RACE 法により候補遺伝子の一つ、PKA 調節サブユニットが同定された。このクローンでは PKA が恒常的に活性化していると考えられ、cAMP/PKA が心筋分化を抑制することが示唆された。さらに、cAMP 誘導剤 IBMX を胚様体の形成初期に投与した結果、Nkx2.5 および GATA-4 mRNA の発現量および GFP 陽性細胞率の低下を認めた。以上の結果は、PKA 調節サブユニットを介した cAMP/PKA シグナル制御が、ES 細胞において心筋細胞への分化に関与することを示唆する。