線虫の2つのトロポニン C と4つのトロポニン I との分子間相互作用

線虫の2つのトロポニン C と4つのトロポニン I との分子間相互作用

Amin Ziaul, Ruksana Razia, 高谷智英, 香川弘昭.

岡山大学大学院自然科学研究科.

Molecular interaction between two troponin C and four troponin I of Caenorhabditis elegans

Amin Ziaul, Ruksana Razia, Tomohide Takaya, Hiroaki Kagawa.

Graduate School of Science and Technology, Okayama University, Okayama, Japan.

第43回日本生物物理学会 (札幌), 2005/11/24 (ポスター).

Abstract

線虫の筋肉は食餌に使われる咽頭筋と運動に使われる体壁筋がある。体壁筋には刺激に応じて運動する骨格筋型斜紋筋と産卵、排泄に使われる陰門筋、肛門筋がある。トロポニン C は咽頭筋と体壁筋それぞれ一つの計2個の遺伝子でコードされている。トロポニン I は咽頭筋型が一つで、体壁筋型は3つの遺伝子でコードされた3つのアイソフォームからなる。それぞれの遺伝子の発現場所は遺伝子上流と蛍光蛋白質 GFP 遺伝子を融合させたレポーター遺伝子の線虫個体への導入によって調べた。2つのトロポニン C と4つのトロポニン I の相互作用をそれぞれの蛋白質を大腸菌内で生産させてメンブレンにブロットした後、別途生産した蛋白質を反応させて解析した。検出には2つのトロポニン C と2つのトロポニン I の抗体で検出した。咽頭筋トロポニン C はすべての体壁筋型トロポニン I と反応したが、体壁筋型トロポニン C は 体壁筋型トロポニン I としか反応しなかった。アイソフォームのアミノ酸配列比較ではその原因は特定出来なかったが、体壁筋型トロポニン I には他の生物では見られない線虫特有の C 末端の伸長が見られた。トロポニン I の N 末端ペプチドと C 末端ペプチドを大腸菌で生産して、トロポニン C やトロポミオシンとの反応性を同様の蛋白質オーバーレイ法で検出しているのでそれらの結果についても報告する。