筋形成型オリゴ DNA (myoDN) とベルベリンの複合体はニワトリ筋芽細胞の分化を促進する

筋形成型オリゴ DNA (myoDN) とベルベリンの複合体はニワトリ筋芽細胞の分化を促進する

二橋佑磨1, 進士彩華2, 梅澤公二3,4, 下里剛士1,2,3,4, 小野珠乙3, 鏡味裕3, 高谷智英1,2,3,4.

  1. 信州大学大学院総合医理工学研究科総合理工学専攻.
  2. 信州大学大学院総合理工学研究科農学専攻.
  3. 信州大学農学部農学生命科学科.
  4. 信州大学バイオメディカル研究所生体分子イノベーション部門.

日本畜産学会報. 2021; 92: 552.

Abstract

発生過程において、筋前駆細胞である筋芽細胞は筋管に分化して骨格筋を形成する。したがって筋芽細胞の分化の促進は、家畜・家禽による食肉生産の増進に重要である。我々は最近、哺乳類筋芽細胞の分化を促進する新たなオリゴ DNA 群として、筋形成型オリゴ DNA (myoDN) を同定した。また、イソキノリンアルカロイドであるベルベリンは、myoDN の一つである iSN04 と複合体を形成し、その筋分化促進活性を増強することを報告した。本研究では、myoDN の種特異的な作用を検証するため、ニワトリ筋芽細胞における myoDN の効果を調べた。7つの myoDN (iSN01-iSN07) はいずれも、ニワトリの筋芽細胞からミオシン重鎖 (MHC) 陽性の筋管への分化を促進した。筋管形成率の定量、および筋原性遺伝子群 (MyoD, myogenin, MHC, myomaker) の発現解析から、iSN04-ベルベリン複合体は、iSN04 単体よりも高い筋分化促進活性を示すことがわかった。これらの結果から、ニワトリ筋芽細胞の分化を促進するmyoDN は、肉用鶏の飼料添加物として有用である可能性が示された。