筋形成型オリゴ DNA の NF-κB 阻害を介した抗炎症作用機序

筋形成型オリゴ DNA の NF-κB 阻害を介した抗炎症作用機序

山本万智1, 三好愛2, 森岡一乃2, 二橋佑磨3, 三谷塁一1,2,3, 高谷智英1,2,3,4.

  1. 信州大学大学農学部.
  2. 信州大学大学院総合理工学研究科.
  3. 信州大学大学院総合医理工学研究科.
  4. 信州大学バイオメディカル研究所.

日本農芸化学会2022年度大会 (京都), 2022/03/17 (口演).

Abstract

我々は最近、乳酸菌ゲノム由来の18塩基の筋形成型オリゴ DNA (iSN04) を同定した。iSN04 は抗ヌクレオリンアプタマーとして、がん分泌物や糖尿病で低下する筋芽細胞の分化能を回復する。興味深いことに、iSN04は同時に筋芽細胞の炎症反応も抑制するが、そのメカニズムは不明である。そこで本研究では、in vitro の炎症誘導系を用いて、iSN04 の抗炎症作用機序を調べた。

マウス筋芽細胞株 C2C12 に TLR2 リガンド (Pam3CSK4, FSL-1) または TNF-α を投与し、炎症誘導系を構築した。リガンド投与2時間後、インターロイキン6および TNF-α の発現量が上昇したが、これらの発現誘導は iSN04 の前処理 (10 uM, 3時間) で有意に抑制された。免疫染色の結果、炎症性の転写因子 NF-κB は、リガンド投与30分以内に核移行するが、iSN04 の前処理はこの核内移行を阻害することがわかった。また、ルシフェラーゼアッセイにより、iSN04 が NF-κB の転写活性を抑制することを確認した。ヒト筋芽細胞でも、iSN04 は TNF-α 依存的な筋分化の悪化を改善するとともに、炎症性サイトカインの発現を抑制することが分かった。さらに、iSN04 は血管平滑筋細胞と脂肪前駆細胞においても抗炎症作用を示した。現在、NF-κB の上流と iSN04 の関連性を検討している。

炎症反応は筋分化を抑制することが広く知られており、iSN04 が筋分化を回復するメカニズムの一部は、その抗炎症作用に依拠していると考えられた。

A single-strand 18-base oligodeoxynucleotide, iSN04, serves as an anti-nucleolin aptamer and promotes myogenic differentiation. iSN04 recovers the myoblast differentiation attenuated by cancer-released factors and diabetes mellitus. In addition, iSN04 restores inflammation of the myoblasts in these situations. In this study, we investigated the molecular mechanism underlying anti-inflammatory effect of iSN04.

Murine myoblast cell line C2C12 was treated with TLR2 ligand (Pam3CSK4 or FSL-1) or TNF-α to be induced inflammatory responses. The ligand-induced transcriptions of interleukin-6 and TNF-α were significantly suppressed by pre-treatment of iSN04. The ligand-induced nuclear translocation of NF-κB was also impaired by iSN04. Similar anti-inflammatory effects of iSN04 were confirmed in human myoblasts, vascular smooth muscle cells, and pre-adipocytes. These data suggested that iSN04 is involved in NF-κB signaling pathway.

Keywords: inflammation, myogenetic oligodeoxynucleotide, NF-κB