骨格筋分化における小胞体ストレス応答因子 IRE1 の RNase ドメインの役割について

骨格筋分化における小胞体ストレス応答因子 IRE1 の RNase ドメインの役割について

坂田章太郎1, 佐藤拓海2, 徳武優佳子3, 高谷智英4, 米倉真一4.

  1. 信州大学大学院総合理工学研究科.
  2. 信州大学農学部.
  3. 東北大学大学院農学研究科.
  4. 信州大学バイオメディカル研究所.

日本畜産学会第125回大会 (相模原), 2019/03/29 (口演).

Abstract

【目的】近年、小胞体ストレス応答が細胞の分化に重要な役割を担っていることが明らかになっているが、小胞体ストレス応答因子である IRE1 の骨格筋分化における役割については未解明である。本研究では骨格筋分化における IRE1 の機能解明を目的とし、IRE1 の活性部位である RNase ドメインに着目して研究を行った。

【方法】(1) C2C12 マウス筋芽細胞株を分化誘導し、RNase ドメインの活性をERAIシステムによって評価した。(2) C2C12 筋分化誘導中に RNase ドメイン活性阻害剤 4μ8C を添加し、筋分化レベルを評価した。(3) マウスを人為的に筋損傷させた後、4μ8C を注射し、筋再生レベルを評価した。

【結果】(1) 筋分化において IRE1 が活性化しているのかを解析したところ、分化誘導刺激によって RNase ドメインの活性化が観察された。(2) その活性化した RNase が筋分化において機能的に関与しているのかを解析したところ、阻害剤添加によって筋管の形成が著しく抑制された。(3) In vivo において RNase が筋分化に機能的に関与しているのかを解析したところ、マウス筋損傷モデルにおいても阻害剤添加によって顕著な筋再生不全が観察された。 以上の実験より、IRE1 の活性部位 RNase ドメインを阻害すると筋分化が著しく抑制されるという結果が得られ、筋分化には IRE1 の RNase 活性が必須であるという全く新しい知見を得た。