ベルベリン類縁体による筋分化誘導型オリゴ DNA の作用増強

ベルベリン類縁体による筋分化誘導型オリゴ DNA の作用増強

進士彩華1, 梅澤公二1,2, 下里剛士3, 高谷智英1,2.

  1. 信州大学大学院総合理工学研究科.
  2. 信州大学バイオメディカル研究所.
  3. 信州大学菌類・微生物ダイナミズム創発研究センター.

日本農芸化学会中部支部第183回支部例会 (名古屋), 2018/09/15 (ポスター).

Abstract

【目的】我々は最近、乳酸菌 Lactobacillus rhamnosus GG のゲノム配列に由来するオリゴ DNA ライブラリを用い、マウス骨格筋芽細胞への作用をスクリーニングした結果、筋分化を強力に促進するオリゴ DNA として myoDN を同定した。また、生薬キハダに含まれるアルカロイド分子ベルベリンが、myoDN と結合し、その筋分化誘導作用を増強することを見出した。本研究では、myoDN 変異体およびベルベリン類縁体を用い、myoDN とベルベリンの相互作用を調べた。

【方法・結果】myoDN とベルベリン類縁体 (ベルベリン、コプチシン、パルマチン、ジャトロリジン) の混合物をアガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色に供した。紫外線照射でベルベリン誘導体が発する黄色蛍光を指標に、myoDN との結合を検定した。また、これらのベルベリン類縁体が、myoDN の筋分化促進作用を増強するか検討した。ベルベリンとコプチシンは myoDN に強く結合し、その活性を高めた。パルマチンは myoDN に弱く結合したが、ジャトロリジンは結合しなかった。myoDN とベルベリンの複合体形成における陽イオンの役割を調べるため、myoDN とベルベリンを、HCl、NaCl、MgCl2、KCl、CaCl2、MnCl2、FeSO4、CuSO4 または ZnSO4 溶液中で混合した。myoDN-ベルベリン複合体は CaCl2 中で強く、MgCl2 中で弱く検出されたが、他の溶液中では検出されなかった。また、一部の塩基を欠失または置換させた変異 myoDN の検討から、ベルベリンとの結合に不可欠な myoDN の塩基を同定した。これらの結果から、myoDN-ベルベリン複合体の形成および筋分化誘導活性に必須となる分子構造の一端が明らかになった。