乳酸菌由来オリゴ DNA によるニワトリ筋芽細胞の分化誘導

乳酸菌由来オリゴ DNA によるニワトリ筋芽細胞の分化誘導

二橋佑磨1, 進士彩華2, 小野珠乙2, 鏡味裕2, 梅澤公二2,3, 下里剛士4, 高谷智英1,2,3.

  1. 信州大学大学院総合理工学研究科.
  2. 信州大学農学部.
  3. 信州大学バイオメディカル研究所.
  4. 信州大学菌類・微生物ダイナミズム創発研究センター.

日本畜産学会第123回大会 (伊那), 2017/09/06 (口演).

Abstract

我々は最近、乳酸菌 Lactobacillus rhamnosus GG のゲノム配列に由来するオリゴ DNA (myoDN) が、マウス筋芽細胞の分化を強力に促進することを見出した。myoDN は、ヒト横紋筋肉腫細胞やマウス iPS 細胞などにも作用するが、哺乳類以外の動物細胞への効果については不明な点が多い。本研究では、鳥類であるニワトリの筋芽細胞に対する myoDN の筋分化作用を検討した。卵肉兼用の黄斑プリマスロック種、および肉用鶏のブロイラーの10日胚の脚部筋組織から、骨格筋幹細胞 (衛星細胞) を採取し、初代培養して得た筋芽細胞を実験に用いた。増殖培地中の未分化な筋芽細胞に myoDN を投与し、48時間後に骨格筋の最終分化マーカーであるミオシン重鎖の免疫染色を行った。myoDN 投与群では、細胞増殖が有意に抑制され、ミオシン重鎖陽性の筋細胞の割合が増加していた。myoDN には活性が少しずつ異なる一連の類似配列が存在するが、これらの配列群に対する応答性の傾向は、マウスとニワトリの筋芽細胞で同様であった。以上の結果から、myoDN は哺乳類だけでなく鳥類の細胞の筋分化も亢進することが示された。myoDN には、家禽の筋発生・筋形成の促進し、食肉の増産につながる飼料配合物としての可能性が期待される。