血管内皮増殖因子 C (VEGF-C) はメタボリックシンドロームで上昇している
和田啓道1, 浦修一1, 北岡修二2, 浅原哲子3, 高谷智英1,8, 森(高鍋)利依子1, 赤尾昌治1,4, 阿部充1,4, 森本達也1,5, 藤田正俊6, 島津章7, 長谷川浩二1.
- 国立病院機構京都医療センター展開医療研究部.
- 国立病院機構京都医療センター検診センター.
- 国立病院機構京都医療センター糖尿病研究部.
- 国立病院機構京都医療センター循環器科.
- 静岡県立大学薬学部分子病態学.
- 京都大学大学院医学研究科人間健康科学.
- 国立病院機構京都医療センター臨床研究センター.
- 京都大学大学院医学研究科循環器内科学.
第18回日本血管生物医学会学術集会 (大阪), 2010/12/01 (ポスター).
Abstract
血管内皮増殖因子 C (VEGF-C) は VEGF 受容体 3 (VEGFR-3) に結合してリンパ管新生における中心的役割を果たす。最近、可溶性 VEGF 受容体 2 (sVEGFR-2) が VEGF-C の内因性拮抗因子として働くことが明らかとなった。我々は sVEGFR-2 がメタボリックシンドローム (MetS) で上昇していることを報告した。しかしながら、MetS における VEGF-C と可溶性 VEGF 受容体 3 (sVEGFR-3) の血中レベルならびに sVEGFR-2 との関連は不明である。いかなる薬物治療も受けていない連続する健常成人 239 名から血清を採取し、VEGF-C、sVEGFR-2、sVEGFR-3 の血中レベルを ELISA 法で測定した。その結果、VEGF と sVEGFR-1 は MetS 群と non-MetS 群で有意差がなかったが VEGF-C、sVEGFR-2、sVEGFR-3 は MetS 群で有意に上昇していた。年齢、性別で調整後、VEGF-C は BMI、収縮期 (SBP) および拡張期 (DBP) 血圧、中性脂肪 (TG)、LDL-C、non-HDL-C、sVEGFR-2 と、sVEGFR-3 は SBP、DBP、sVEGFR-2 と各々有意な相関を認めた。ステップワイズ回帰分析の結果、TG、sVEGFR-2、DBP が VEGF-C の、sVEGFR-2 が sVEGFR-3 の各々独立した規定因子であった。面白いことに BMI、DBP、TG を含む多変量解析の結果、VEGF-C の規定因子は TG と DBP であったが、対照的に VEGF の規定因子は BMI であった。以上から、VEGF-C/sVEGFR-3 シグナリングが sVEGFR-2 と関連して MetS の病態に関与している可能性が示唆された。