高脂肪食負荷マウスの脂肪組織において LOX-1 は MCP-1 と密接に関連して発現が誘導される

高脂肪食負荷マウスの脂肪組織において LOX-1 は MCP-1 と密接に関連して発現が誘導される

高鍋(森)利依子1, 尾野亘2, 阿部由希子2, 和田啓道1, 高谷智英2, 佐藤哲子3, 島津章1, 藤田正俊4, 沢村達也5, 長谷川浩二1.

  1. 国立病院機構京都医療センター展開医療研究部.
  2. 京都大学大学院医学研究科循環器内科学.
  3. 国立病院機構京都医療センター糖尿病研究部.
  4. 京都大学大学院医学研究科人間健康科学.
  5. 国立循環器病センター研究所脈管生理部.

第46回臨床分子医学会学術集会 (東京), 2009/04/12 (ポスター).

Abstract

レクチン様酸化 LDL 受容体 (LOX-1) は、炎症性サイトカインや酸化ストレスによって誘導される酸化 LDL の受容体である。特に動脈硬化の初期段階における血管内皮細胞で強く発現し、その病変形成に重要な役割を担っている。最近では、ob/ob マウスの脂肪組織で、LOX-1 の発現が同腹仔の痩せたマウスに比べて上昇することや、肥満助成の血漿中で可溶性 LOX-1 が増加することが報告されている。しかし、高脂肪食負荷マウスの脂肪組織における LOX-1 発現、および肥満に伴って変化する各種因子と LOX-1 の関連は明らかになっていない。そこで我々は、C57BL/6 マウスに高脂肪食を8週間負荷した後、腸間膜脂肪における遺伝子発現を real-time PCR 法にて定量した。腸間膜脂肪での LOX-1 の発現量は、普通食マウスに比べて高脂肪食マウスで有意に上昇しており (2.3-fold, p < 0.05)、体重 (R = 0.674, p = 0.0011)、腸間膜脂肪重量 (R = 0.785, p = 0.0001) と正の相関を示した。しかし、脂肪細胞分化マーカーである aP2 および PPARγ の発現量との相関は認められなかった。LOX-1 の発現量は、LOX-1 の下流の遺伝子である炎症性サイトカイン MCP-1 の発現量と極めて強い正の相関を示した (R = 0.905, p < 0.0001)。以上の結果から、高脂肪食負荷マウスの脂肪組織における LOX-1 の発現は、内臓肥満の程度に比例して上昇すること、また LOX-1 が MCP-1 の発現を介して脂肪組織の炎症に関与している可能性があることが示唆された。