マウスおよびニワトリ骨格筋芽細胞の自律的な異種細胞融合

マウスおよびニワトリ骨格筋芽細胞の自律的な異種細胞融合

高谷智英1,2,3, 二橋佑磨2, 小島正太郎3, 小野珠乙2,3, 鏡味裕3.

  1. 信州大学バイオメディカル研究所代謝ゲノミクス部門.
  2. 信州大学大学院総合理工学研究科農学専攻.
  3. 信州大学農学部農学生命科学科.

日本畜産学会報. 2018; 89: 94.

Abstract

細胞融合は、ハイブリドーマのような有益なハイブリッド細胞の創出に重要な技術である。本研究では、骨格筋芽細胞を用いた自律的な異種細胞融合の新規手法の開発を試みた。筋芽細胞は単核の筋前駆細胞で、筋分化の過程で互いに融合して多核の筋管を形成する。我々は、緑色蛍光タンパク質 (GFP) を発現するマウス筋芽細胞 (mMB-GFP)、および赤色蛍光タンパク質 (DsRed) を発現するニワトリ筋芽細胞 (chMB-DsRed) を作出した。共培養した mMB-GFP と chMB-DsRed を分化誘導すると、24時間後には GFP と DsRed の両方を発現する多核の筋管が観察され、マウスとニワトリの筋芽細胞が異種融合することが示された。この GFP+/DsRed+ ハイブリッド筋管は、多数の細胞核を有する成熟した筋管へと成長することができた。また、未分化な mMB-GFP が、分化した chMB-DsRed 由来筋管に効率よく融合することも明らかになった。本研究は、哺乳類と鳥類の細胞の自律的な異種融合の最初の報告である。筋芽細胞を基盤とした細胞融合技術は、新たなハイブリッド細胞の創出に貢献することが期待される。