抗ヌクレオリンアプタマー iSN04 による多能性幹細胞の心筋分化誘導

抗ヌクレオリンアプタマー iSN04 による多能性幹細胞の心筋分化誘導

高谷智英, 石岡美奈.

第9回日本心血管協会学術集会 (静岡), 2024/05/25 (ポスター).

Abstract

ES 細胞や iPS 細胞などの多能性幹細胞から分化誘導した心筋細胞は、心臓再生医療の細胞ソースや、創薬研究における細胞モデルとして有用である。しかし、多能性幹細胞の心筋分化プロトコルは、煩雑で、高額な試薬を用いることも多く、簡便かつ安価な心筋作出法の開発が求められている。アプタマー (核酸抗体) は、標的因子に特異的に結合する数十塩基の一本鎖オリゴ核酸で、大量に化学合成できることから、有望な次世代医薬品として期待されている。本発表では、我々が同定した18塩基の抗ヌクレオリンアプタマーである iSN04 が、マウス多能性幹細胞の分化段階に応じて心筋分化を抑制ないし促進することを報告する。iSN04 は、心臓中胚葉以前の細胞系列から心筋への分化を抑制する一方、心臓中胚葉以降の細胞から成熟心筋への最終分化を促進した。RNA シーケンスの結果、iSN04 によるヌクレオリン阻害は、Wnt シグナル関連因子の発現量に影響し、その結果、心臓特異的な遺伝子群の発現パターンが変化することが示唆された。