筋分化を誘導する乳酸菌オリゴ DNA の生体内作用の実証

筋分化を誘導する乳酸菌オリゴ DNA の生体内作用の実証

高谷智英.

信州大学農学部.

日本農芸化学会2018年度産学官学術交流フォーラム (名古屋), 2018/03/16 (第15回農芸化学研究企画賞受賞報告).

Abstract

超高齢化社会では、加齢性の筋委縮であるサルコペニアを含むロコモティブ症候群の発症が増加している。骨格筋の恒常性は、骨格筋幹細胞が活性化した筋芽細胞の増殖と分化により維持されるが、加齢によって筋芽細胞の分化能が衰えることが知られている。

我々は、筋芽細胞の分化を亢進する生物活性物質をスクリーニングした結果、ヒト腸内に存在する乳酸菌 Lactobacillus rhamnosus GG のゲノム配列に由来するオリゴ DNA が、極めて強力に筋分化を促進することを見出し、myoDN と命名した。また、myoDN の作用は、生薬由来分子ベルベリンによって顕著に増強されることも明らかにしてきた。

骨格筋分化を促進する myoDN-ベルベリン複合体には、筋芽細胞の分化誘導によるロコモティブ症候群の予防、家畜の筋形成を促進することによる食肉の増産、横紋筋肉腫の分化誘導による肉腫の増殖や転移の抑制といった応用が期待される。これらの可能性を追求するべく、myoDN の生体内における作用と安全性を動物モデルで検証していきたい。

キーワード:筋芽細胞、骨格筋分化、オリゴ DNA