ニワトリキメラの作出と育種への応用の試み

ニワトリキメラの作出と育種への応用の試み

鏡味裕1,2, 佐藤彩水1, 佐藤知弥1, 三木静華1, 小野珠乙1, 高谷智英1, Amonrat Molee3, Wittawat Molee3, Supalak Prajan3,4, Tran Hang3,5, 平松浩二1.

  1. 信州大学農学部.
  2. 日本学術振興会.
  3. スラナリ工科大学.
  4. タイ生物保全局.
  5. カントー大学.

日本家禽学会2017年度秋季大会 (伊那), 2017/09/05 (口演).

Abstract

【目的】我々は、ニワトリ発生工学に関する実験系を確立してきた (Kagami (2016); Kagami edt (2017))。そこで、これまでの実験系を改良し、より簡便なキメラ作出とそのニワトリ改良への応用を目的に研究を行った。

【方法】ニワトリ受精卵を培養し循環血を採取した。ACK 法により PGC を採取した (Yamamoto et al (2007))。PGC の確認は、ニワトリ VASA を用いて蛍光免疫染色した。これらの PGC をレシピエントニワトリの受精卵に移植した。操作胚を全胚培養法で培養した。なほ、操作胚の培養においても簡略化を試みた。孵化した雛は通常の給餌・飼育で飼育した。性成熟後に後代検定を行い、生殖細胞キメリズムの検定を行った。

【結果】ニワトリ VASA 抗体を用いて蛍光免疫染色したところ、効率的に PGC が採取されたことを確認した。また本方法によって、特定の品種に限定せず PGC を採取し得ることも確認された。さらに、後代検定の結果からドナー PGC 由来の後代が産出し得ることも確認された。これらの実験系はニワトリ育種への応用が期待された。

【参照】Kagami (2016) Anim Sci J, Kagami edt (2017) Proc TJISAB (in press), Yamamoto et al (2007) Biol Reprod.