血管内皮増殖因子 C は脂質異常及び動脈硬化と関連している

血管内皮増殖因子 C は脂質異常及び動脈硬化と関連している

浦修一1, 和田啓道1, 北岡修二2, 浅原(佐藤)哲子3, 堀江貴裕4, 尾野亘5, 高谷智英1, 森(高鍋)利依子1, 赤尾昌治6, 阿部充6, 森本達也7, 藤田正俊8, 島津章9, 長谷川浩二1.

  1. 国立病院機構京都医療センター展開医療研究部.
  2. 国立病院機構京都医療センター検診センター.
  3. 国立病院機構京都医療センター糖尿病研究部.
  4. 京都大学医学部附属病院探索医療センター探索医療臨床部.
  5. 京都大学大学院医学研究科循環器内科学.
  6. 国立病院機構京都医療センター循環器内科.
  7. 静岡県立大学薬学部薬学科分子病態学.
  8. 京都大学大学院医学研究科人間健康科学.
  9. 国立病院機構京都医療センター臨床研究センター.

第55回日本糖尿病学会 (横浜), 2012/05/17-19 (口演).

Abstract

肥満から動脈硬化が発症する機序は不明である。肥満の病態には血管新生因子 (VEGF-A) が重要な役割を果たしている。しかし、リンパ管新生因子、血管内皮増殖因子 C (VEGF-C) の意義は不明である。健診受診者 423 名の血中 VEGF-A、VEGF-C レベルを測定した。年齢・性別で調整後、VEGF-C は VEGF-A よりも脂質・代謝異常と強い有意な相関を認めた。VEGF-A の最強の独立した規定因子は BMI であったのに対して、VEGF-C のそれは年齢、中性脂肪、non-HDL-C であった。高脂肪食を負荷したアポリポ蛋白 E 欠損マウスの動脈硬化プラークにおける VEGF-C の発現は正常食と比べて有意に増加していたが VEGF-A の増加はわずかであった。血清 VEGF-C レベルは高脂肪食負荷で有意に増加したが VEGF-A レベルは有意差がなかった。これらの所見から、VEGF-C は VEGF-A よりも脂質異常及び動脈硬化と密接に関連していることが明らかとなった。