心筋細胞において Cdk9 は GATA4 を介して肥大反応遺伝子プロモーターにリクルートされる
砂川陽一1, 森本達也1, 高谷智英1, 鶏内伸二2, 和田啓道1, 川村晃久1, 藤田正俊3, 島津章1, 北徹4, 長谷川浩二1.
- 国立病院機構京都医療センター展開医療研究部.
- 京都大学大学院医学研究科発達小児科学.
- 京都大学大学院医学研究科人間健康科学.
- 神戸市立医療センター中央市民病院.
第46回臨床分子医学会学術集会 (東京), 2009/04/12 (ポスター).
Abstract
【背景】心筋細胞肥大の中心的な役割を果たしている心筋特異的転写因子 GATA4 とアセチルトランスフェラーゼ (HAT) 活性を持つ p300 の新規結合蛋白として、P-TEFb (posivite transcription elongation factor b) の構成蛋白である Cdk9 を同定した。本研究の目的は、Cdk9 が GATA4/p300 と機能的コンプレックスを形成するか、心筋細胞肥大反応遺伝子制御にどのように関与するかを検討することである。
【方法と結果】ChIP および re-ChIP アッセイにより、心筋細胞において GATA4 は Cdk9 および p300 を肥大反応遺伝子のプロモーターにリクルートした。この DNA 結合能はフェニレフリン刺激により増加した。フェニレフリンは GATA4 のアセチル化、GATA4 と Cdk9 の結合、p300 のリン酸化を亢進させ、心筋細胞面積を増加させた。Cdk9 のインヒビターである DRB はフェニレフリンによるこれらの効果を抑制した。さらに、Cdk9 の shRNA をレンチウイルスで心筋細胞に発現させたところ、フェニレフリンによる肥大反応を抑制した。
【考察】Cdk9 は、そのキナーゼ活性により p300 のリン酸化や HAT 活性を亢進させ、GATA4/p300 と機能的コンプレックスを肥大反応遺伝子プロモーター上で形成する。