健康寿命とロコモティブ症候群 / Healthspan and motor disorders

目次 / Index

平均寿命と健康寿命 /Lifespan and healthspan

日本は世界的な長寿国です。日本人の平均寿命は、女性が 87.1 歳、男性が 81.0 歳です。しかし、平均寿命の単純な延伸が人びとの幸福につながるとは限りません。健康寿命は、医療や介護に依存せずに自立した生活を営める生存期間です。日本人の健康寿命は、女性が 74.8 歳、男性が 72.1 歳です。健康寿命が尽きてから平均寿命を迎えるまでは、医療や介護が必要になりますが、この期間は女性で 12.4 年間、男性で 8.8 年間になります。この期間の長さは、医療財政、福祉医療、終末介護などに直接影響します。超高齢社会を迎えた日本では、健康寿命の延伸こそが重要であると考えられています。

性別 平均寿命 健康寿命
女性 87.14 歳 74.79 歳 12.35 年
男性 80.98 歳 72.14 歳 8.84 年

(内閣府「平成30年版高齢社会白書」)

要支援・要介護の原因

自立した生活ができなくなると、支援や介護が必要になります。つまり、要支援・要介護になった原因は、健康寿命が尽きた理由を反映しています。その第1位は、運動器の障害 (ロコモティブ症候群) で、全体の4分の1を占めています。

要支援・要介護になった原因 割合
運動器の障害 25%
脳血管疾患 19%
認知症 16%
高齢による衰弱 13%
その他 27%

(厚生労働省「平成25年度国民生活基礎調査」)

ロコモティブ症候群 / Motor disorders

ロコモティブ症候群は、全身の運動を司る器官に障害の総称です。ロコモティブ症候群は、日常生活動作 (ADL; activities of daily living) や生活の質 (QOL; quality of life) を低下させ、最終的には歩行障害や寝たきりを引き起こす大きな要因となっています。

筋肉の力や量が減少すると、運動機能が低下します。特に、高齢者で生じる筋萎縮はサルコペニア (加齢性筋量減少症)と呼ばれ、フレイル (老年性虚弱) の大きな原因となっています。筋量の減少は、運動機能だけではなく、がんや心臓病などの予後にも影響することが知られています。

の量や密度が減少すると、骨折しやすくなります。骨密度が低下する骨粗鬆症は、高齢者や、閉経後にホルモンバランスが変化する女性に多いとされます。また、糖尿病、動脈硬化、慢性腎臓病などの代謝性疾患によっても骨量が低下します。

関節の障害である変形性関節症や脊柱管狭窄症は、骨粗鬆症とともにロコモティブ症候群の三大原因疾患となっています。また、関節の炎症であるリウマチも運動障害の原因となります。

ロコモティブ症候群 / Motor disorders

研究内容 / Research topics

ロコモティブ症候群の克服と健康寿命の延伸は、超高齢社会における大きな挑戦です。私たちは、筋萎縮症や骨粗鬆症の予防・治療法の確立を目指して研究を行っています。以下のページで研究内容を詳しく紹介しています。

骨格筋 / Skeletal muscle