ニワトリ有精卵の孵卵
Materials
- ニワトリ有精卵, 4°C (1セット10個が目安)
産卵後2週間を過ぎると孵化率が落ちる。産卵後5日以内の入卵が好ましい。 - 孵卵器
- バット
- MQ
Protocol
孵卵器をエタノールで掃除する。冬季は、器内温度・湿度を一定にさせるために、電源を入れてから半日ほど試運転する。有精卵に入卵日や番号を書いておく。
- 試運転している場合は、孵卵器の電源を一度落とす。
- バットに MQ を入れ、孵卵器内に置く。
- 孵卵器から卵設置台を出し、卵設置台に有精卵を横向きに置く。
転卵時に接触しないよう、卵を一列に詰めすぎないようにする。 - 卵設置台を孵卵器に戻す。黒いゴムが付いた側を手前にする。
- 卵設置台の横 (孵卵器の内側) の金具で、転卵角度を「大」(外側の穴。1回の転卵角度が90度) に設定する。
- 孵卵器の扉を閉め、電源ケーブルをコンセントに差し込む。
- 孵卵器の電源 (孵卵器上側のスイッチ) を入れ、器内温度を 37°C に設定する。
- 孵卵器右側のダイアルで転卵時間を15分に設定し、スイッチを「自動」にして転卵を開始する。
15分後に設定通りに転卵するのを確認する。 - 孵卵器の温度・湿度を維持したまま10日間培養する。
孵卵器は毎日確認し、バットの MQ は2~3日ごとに交換する。孵化作業を始めたら、孵卵器の電源は切らない。
ニワトリ筋芽細胞の採取・培養
Materials
- ニワトリ10日胚 (1セット10匹が目安)
- PBS(-), 4°C
- DMEM/10% FBS/PS, 4°C
- Collagenase II 溶液 (2 mg/ml collagenase II [SIGMA, C6885] in DMEM/10% FBS/PS), -20°C
- chMB-GM (RPMI 1640/20% FBS/NEAA/CEE/bFGF/PS), 4°C
- Amphotericin B [Fungizone] (×100, 250 ug/ml) (Wako, 019-23891), -20°C
- 解剖用具
- 10 cm ペトリディッシュ
- 6 cm ガラスディッシュ (オートクレーブ滅菌)
- 10 ml シリンジ (テルモ, SS-10ESZP)
- 18 G 注射針 (テルモ, NN-1838R)
- 100 um セルストレーナー (アズワン, VCS-100)
- 10 cm dish (non-coat)
- 10 cm コラーゲンディッシュ
Protocol: Day 1
- 10 cm ペトリディッシュに 20 ml の PBS(-) を入れる。
- 6 cm ガラスディッシュに 10 ml の collagenase II 溶液を入れる。
- 孵卵した有精卵を割り、10日胚を取り出す。
- 後肢を付け根から切断して PBS に浸す。
- 骨格筋を collagenase II 溶液に入れる。
このとき、皮膚や骨をできるだけ除去するが、非常に柔らかく分離が困難であるため、骨格筋の収量を第一に、ある程度の皮膚・骨の混入は許容する。 - 以下の作業は安全キャビネット内で行う。
- 骨格筋を先端カーブのハサミでミンスする。 ミンスの度合いが筋芽細胞の採取効率を決める。充分にミンスする。
- CO2 インキュベーション, 37°C, 1 hr。
- 18 G の針を装着した 10 ml シリンジで骨格筋を懸濁する。
注射針を通らない大きな肉片はハサミでミンスする。 - CO2 インキュベーション, 37°C, 15 min。
- 18 G の針を装着した 10 ml シリンジで骨格筋を懸濁する。
- 50 ml チューブに 25 ml の DMEM/10% FBS/PS を入れる。
- 骨格筋の懸濁液を上記の DMEM/10% FBS/PS に加える。
- 別の 50 ml チューブにセルストレーナーを装着する。
- 骨格筋の懸濁液をセルストレーナーで濾過する。
- 遠心, 1500 rpm, RT, 3 min。
- アスピレーターで上清を除去する。
- 沈殿した細胞を 21 ml の chMB-GM で懸濁する。
- 210 ul (1/100 量, 終濃度 2.5 ug/ml) の amphotericin B を加える。
- 10 cm dish (non-coat) 3枚 (7 ml/dish) に播種する。
- CO2 インキュベーション, 37°C, O/N。
Protocol: Day 2
- 前日播種した 10 cm dish (non-coat) 3枚の上清をまとめて 50 ml チューブに回収する。
10 cm dish (non-coat) には線維芽細胞が接着している。上清は筋芽細胞、血球、死細胞を含む。 - 遠心, 1500 rpm, RT, 3 min。
- アスピレーターで上清を除去する。
- 沈殿した細胞を 8 ml の chMB-GM で懸濁する。
- 80 ul の amphotericin B を加える。
- 10 cm コラーゲンディッシュ1枚に播種する。
- CO2 インキュベーション, 37°C, O/N。
References
Nihashi Y, Ono T, Kagami H, Takaya T*. Toll-like receptor ligand-dependent inflammatory responses in chick skeletal muscle myoblasts. Dev Comp Immunol. 2019; 91: 115-122.
Nihashi Y, Umezawa K, Shinji S, Hamaguchi Y, Kobayashi H, Kono T, Ono T, Kagami H, Takaya T*. Distinct cell proliferation, myogenic differentiation, and gene expression in skeletal muscle myoblasts of layer and broiler chickens. Sci Rep. 2019; 9: 16527.
Takaya T*, Nihashi Y, Kojima S, Ono T, Kagami H. Autonomous xenogenic cell fusion of murine and chick skeletal muscle myoblasts. Anim Sci J. 2017; 88: 1880-1885.