ニワトリ筋芽細胞の初代培養

ニワトリ有精卵の孵卵

Materials

Protocol

孵卵器をエタノールで掃除する。冬季は、器内温度・湿度を一定にさせるために、電源を入れてから半日ほど試運転する。有精卵に入卵日や番号を書いておく。

  1. 試運転している場合は、孵卵器の電源を一度落とす。
  2. バットに MQ を入れ、孵卵器内に置く。
  3. 孵卵器から卵設置台を出し、卵設置台に有精卵を横向きに置く。
    転卵時に接触しないよう、卵を一列に詰めすぎないようにする。
  4. 卵設置台を孵卵器に戻す。黒いゴムが付いた側を手前にする。
  5. 卵設置台の横 (孵卵器の内側) の金具で、転卵角度を「大」(外側の穴。1回の転卵角度が90度) に設定する。
  6. 孵卵器の扉を閉め、電源ケーブルをコンセントに差し込む。
  7. 孵卵器の電源 (孵卵器上側のスイッチ) を入れ、器内温度を 37°C に設定する。
  8. 孵卵器右側のダイアルで転卵時間を15分に設定し、スイッチを「自動」にして転卵を開始する。
    15分後に設定通りに転卵するのを確認する。
  9. 孵卵器の温度・湿度を維持したまま10日間培養する。

孵卵器は毎日確認し、バットの MQ は2~3日ごとに交換する。孵化作業を始めたら、孵卵器の電源は切らない。

ニワトリ筋芽細胞の採取・培養

Materials

Protocol: Day 1

  1. 10 cm ペトリディッシュに 20 ml の PBS(-) を入れる。
  2. 6 cm ガラスディッシュに 10 ml の collagenase II 溶液を入れる。
  3. 孵卵した有精卵を割り、10日胚を取り出す。
  4. 後肢を付け根から切断して PBS に浸す。
  5. 骨格筋を collagenase II 溶液に入れる。
    このとき、皮膚や骨をできるだけ除去するが、非常に柔らかく分離が困難であるため、骨格筋の収量を第一に、ある程度の皮膚・骨の混入は許容する。
  6. 以下の作業は安全キャビネット内で行う。
  7. 骨格筋を先端カーブのハサミでミンスする。
  8. ミンスの度合いが筋芽細胞の採取効率を決める。充分にミンスする。
  9. CO2 インキュベーション, 37°C, 1 hr。
  10. 18 G の針を装着した 10 ml シリンジで骨格筋を懸濁する。
    注射針を通らない大きな肉片はハサミでミンスする。
  11. CO2 インキュベーション, 37°C, 15 min。
  12. 18 G の針を装着した 10 ml シリンジで骨格筋を懸濁する。
  13. 50 ml チューブに 25 ml の DMEM/10% FBS/PS を入れる。
  14. 骨格筋の懸濁液を上記の DMEM/10% FBS/PS に加える。
  15. 別の 50 ml チューブにセルストレーナーを装着する。
  16. 骨格筋の懸濁液をセルストレーナーで濾過する。
  17. 遠心, 1500 rpm, RT, 3 min。
  18. アスピレーターで上清を除去する。
  19. 沈殿した細胞を 21 ml の chMB-GM で懸濁する。
  20. 210 ul (1/100 量, 終濃度 2.5 ug/ml) の amphotericin B を加える。
  21. 10 cm dish (non-coat) 3枚 (7 ml/dish) に播種する。
  22. CO2 インキュベーション, 37°C, O/N。

Protocol: Day 2

  1. 前日播種した 10 cm dish (non-coat) 3枚の上清をまとめて 50 ml チューブに回収する。
    10 cm dish (non-coat) には線維芽細胞が接着している。上清は筋芽細胞、血球、死細胞を含む。
  2. 遠心, 1500 rpm, RT, 3 min。
  3. アスピレーターで上清を除去する。
  4. 沈殿した細胞を 8 ml の chMB-GM で懸濁する。
  5. 80 ul の amphotericin B を加える。
  6. 10 cm コラーゲンディッシュ1枚に播種する。
  7. CO2 インキュベーション, 37°C, O/N。

References

Nihashi Y, Ono T, Kagami H, Takaya T*. Toll-like receptor ligand-dependent inflammatory responses in chick skeletal muscle myoblasts. Dev Comp Immunol. 2019; 91: 115-122.

Nihashi Y, Umezawa K, Shinji S, Hamaguchi Y, Kobayashi H, Kono T, Ono T, Kagami H, Takaya T*. Distinct cell proliferation, myogenic differentiation, and gene expression in skeletal muscle myoblasts of layer and broiler chickens. Sci Rep. 2019; 9: 16527.

Takaya T*, Nihashi Y, Kojima S, Ono T, Kagami H. Autonomous xenogenic cell fusion of murine and chick skeletal muscle myoblasts. Anim Sci J. 2017; 88: 1880-1885.