Introduction
ルシフェラーゼ (luciferase; Luc) は、ホタル (firefly) やウミシイタケ (Renilla) などの発光生物において、化学発光反応を触媒する酵素である。レポーターとして Luc 遺伝子を導入した細胞における発光量を測定することで、Luc 活性 - Luc 遺伝子の発現量を定量することができる。特に、あるプロモーター下に Luc 遺伝子を組み込んだ Luc レポータープラスミドは、プロモーターに結合する転写因子の活性を調べるために用いられる。
Materials
- Luc プラスミドを導入した細胞
- Dual-Luciferase Reporter Assay System (Promega, E1910), -20°C
- 5×Passive Lysis Buffer (PLB): 細胞溶解液
- Luciferase Assay Reagent (LAR): Firefly-Luc の基質
- Stop & Glo Reagent (SGR): Renilla-Luc の基質
- PBS(-), RT
Protocol
必要量の試薬を調整・溶解する。Luc 解析は酵素反応の測定なので、試薬が低温だと正確に反応しない。特に、Stop & Glo Buffer は -20°C で凍結しており、溶解に時間がかかる。
Plate | 1×PLB | LAR | SGR |
---|---|---|---|
12-well | 100 ul/well | 20 ul/well | 20 ul/well |
24-well | 50 ul/well | 20 ul/well | 20 ul/well |
- 5×PLB を MQ で希釈して必要量+α の 1×PLB を調整する。
- 必要量の LAR を溶解しておく。
- 必要量の SGR を溶解しておく。足りない場合は、必要量の Stop & Glo Buffer に 1/50 量の 50×Stop & Glo Substrate を加えて SGR を調整する。
サンプルの回収
- PBS(-) で wash, 2回。PBS(-) は完全に除去する。
- PLB を加える。Well が完全に PLB で覆われていることを確認する。
- シェーカーで震盪, 50 rpm, RT, 15 min。
- チップでこすったり、泡立てないようにピペッティングして細胞を PLB に溶かし、1.5 ml チューブに移す。
細胞が完全に溶解せず、白い残滓が出ても測定には問題ない。
この時点でサンプルを -80°C に保存して後日測定することも可能。 - 測定するサンプル 20 ul を別の 1.5 ml チューブに移し、20 ul ピペットとチップ、USB メモリを用意する。
Luc 活性の測定
- 測定器 GloMax と PC の電源を入れる。
- GloMax の設定:
- 「Protocols」→「Run Promega Protocol」→「DLR-0-INJ」を選択。
- 「Integration 1」が「10 sec」であることを確認して「OK」。
- PC の設定:
- デスクトップの GLOMAX SIS アプリを起動する。
- 「Start」ボタンを押すと自動的に Excel が起動する。Excel を全画面表示にする。
- サンプルに 20 ul の LAR を加えてピペッティングする。
- 1.5 ml チューブのフタを開けて GloMax にセットする。
- GloMax のフタを閉めて「Measure Luminescence」を押す。
- 約10秒測定。測定終了のメッセージが出たら GloMax のフタを開けてサンプルを取り出す。
- サンプルに 20 ul の SGR を加えてピペッティングする。
- 1.5 ml チューブのフタを開けて GloMax にセットする。
- GloMax のフタを閉めて「OK」を押す。
- 約10秒測定。測定終了後、GloMax の画面と PC の Excel に結果が表示される。
- サンプルの数だけ 4〜11 を繰り返す。
- Excel のデータにサンプルの名前を記入する。
- Excel のデータを、デスクトップに別名で保存し、Excel を終了する。
- デスクトップの Excel ファイルを USB メモリにコピーする。
コピー先のファイルを開いてデータを確認してから、デスクトップのファイルを削除する。 - PC の GLOMAX SIS アプリの「Stop」ボタンを押す。
- GloMax と PC の電源を切る。