Introduction
アルカリフォスファターゼ (alkaline phosphatase; ALP) は、未分化な ES/iPS 細胞や、分化した骨細胞で高発現しており、その酵素活性は(未)分化マーカーとして利用される。細胞内 ALP の活性は、ALP 染色によって可視化できるが、ALP 活性は細胞によって異なるため、ALP 陽性細胞率を求めることは困難である。一方、特に骨芽細胞はコンフルエントな状態で ALP 染色に供するため、撮影した視野中の ALP シグナル強度を求めることによって、骨分化の指標とすることができる。
Protocol
ALP 染色像の解析
- ImageJ を起動する。
- 「File」→「Open...」で解析したい画像を開く。
- 「Image」→「Type」→「8-bit」でモノクロ画像 (256階調) に変換する。
- キーボードの「M」を押す (「Analyze」→「Measure」と同じ)。
- 画像の定量結果が「Results」ウィンドウに表示される。
表示する項目は「Analyze」→「Set Measurements...」で選択できる。 - 解析する画像の数だけ、1~5 を繰り返す。
- 解析が終了したら、「Results」ウィンドウの「File」→「Save As...」でファイルを保存する。
ALP シグナル強度の算出
保存したファイルを Excel で開く。
Label | Area | Mean | Min | Max | |
---|---|---|---|---|---|
1 | Photo-01.tif | 3145728 | 193.5 | 13 | 255 |
2 | Photo-02.tif | 3145728 | 143.5 | 15 | 255 |
: | : | : | : | : | : |
- Label: 画像ファイル名
- Area: 画像内の全ピクセル数
- Mean: 全ピクセルの階調値の平均
- Min: 全ピクセルの最小の階調値
- Max: 全ピクセルの最大の階調値
「255 - Mean」の値を ALP シグナル強度として算出する。
8-bit の階調値 (0-255) は、小さいほど黒く、大きいほど白い。ALP 染色ではシグナルが暗く見えるので、シグナルが強いほど Mean の階調値が小さくなる。しかしそれではわかりにくいので、逆数を算出している。
References
Nihashi Y, Miyoshi M, Umezawa K, Shimosato T, Takaya T*. Identification of a novel osteogenetic oligodeoxynucleotide (osteoDN) that promotes osteoblast differentiation in a TLR9-independent manner. Nanomaterials. 2022; 12: 1680.